スキップしてメイン コンテンツに移動

人はなぜ勉強するのか?(2)

 

 勉強の「内容」も人生の役に立つ①  √の話

 

                目次へ                 


前回、人はなぜ勉強するのか?(1)では、「勉強した内容」ではなく「勉強の方法」こそ、実際の人生で役に立つとお話しました。

 

今回は、そうは言っても「勉強した内容」も少しは実際の役に立つというお話を。

 

私の高校時代からの親友が、函館に遊びに来た時の話です。彼は千葉県の浦安市に住んでいます。ディズニーランドのある町です。

 

忘れもしない、函館山に登るロープウェーの中でのことでした。私はふと気になって、彼に家からディズニーランドまでの距離を尋ねました。歩いて行ける距離かどうかが気になったのです。彼は正確な距離を知らなかったようで即答できませんでした。

 

ただその時、彼は浦安市のことや彼の家とディズニーランドまでの位置関係などについてこう言ったのです。

 

1.  浦安市の面積は16平方キロメートルである。(実際には17.3平方キロメートルでした。)

2.  浦安市は正方形である。(実際調べると、正方形?って感じでした。)

3.  家とディズニーランドはちょうどその正方形の対角の位置にある。

 

正方形で面積が16平方キロメートルならば、それは一辺が4キロメートルの正方形です。

 

家とディズニーランドが正方形の対角の位置にあるなら、その正方形の対角線の長さが、彼の家とディズニーランドまでの距離です。そして、直角二等辺三角形の辺の比は、11:√2なので、対角線の長さは、4×√24 √2 キロメートル。√2は「一夜一夜に人見ごろ(ひとよひとよにひとみごろ)」ですから1.41421356… だいたい1.4くらいなので、家からディズニーランドまでの距離は、4×1.45.6キロメートルと出ました。

 

私はその時とても感動しました。なぜなら、これが授業をのぞく実生活で初めて√(ルート、平方根)が役に立った瞬間だったからです。

 

今ならスマホでグーグルマップを開いて検索すれば、二地点間の距離はすぐ出てきます。今調べたら4.6キロメートルでした。ざっくり出した5.6キロメートルと比べても悪くない数字ですね。

 

私はこの経験を通して、このように考えました。勉強の内容が「役に立たない」のではなく、「役に立たせようとしてない」だけではないかと。

 

それ以来、私は学校で学ぶ勉強の内容を実生活で「役に立たせる」努力をしています。数学でも物理でも何でもです。この公式は何の役に立つだろう。この考え方はどんなことに生かせるか。いつも考えています。そして、思いついて実行したことは授業で積極的に生徒に伝えています。「今、みんなが勉強していることは無駄じゃないんだ」というメッセージの具体例です。

 

学んだことを使おうともせず、そもそも学ぼうともせず、「勉強なんて何の役に立つの?」と言う人には、こう言ってやりましょう。

 

「学んだことを役に立たせようとした?」

 

P.S.じゃ、次は物理を実生活で役に立たせよう


                目次へ