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人はなぜ勉強するのか?(3)

 

 勉強の「内容」も人生の役に立つ②  物理・ソリの話

 

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物理は、実生活で役に立つことばかりです。そもそも世の中で起きていることを数式化して説明するのが物理だからです。

 

たしかに宇宙物理学だとか原子物理学だとかは、世の中で起きていることとはいえ、普通の人が実生活で役に立たせられる内容は少ないとは思いますが(もしかしたら専門家の先生は『役に立たせようとした?』と聞いてくるかもしれません)、力学なら私たちの身近なことで役に立たせられることが多いと思います。

 

北海道では、冬にそり遊びをします。そりは大小様々な物がありますが、一般的なものは幅40cm、長さ70cm、高さ(深さ)10cmくらいのポリエチレン製で50cmくらいのひもがついています。

 

それを公園に持って行って、小高い山から滑り降りるのです。子どもが小さいうちは、そりに子どもを乗せて親がそれを引くこともあります。

 

私も2人の娘が小さい頃は、1つのそりに2人を乗せて、家の前でそりを引いていました。子どもは楽だし、楽しいので、私は永遠にそりを引く羽目になります。しかし、私もいい歳なので疲れます。どうすれば楽にそりを引けるか考えました。

 

私がひもを引く力をF、地面とひもの角度をθ(シータ)とします。このとき、私がひもを引く力を成分に分けると、移動方向とそれに垂直な方向に分けることができます。移動方向の力の成分はFcosθになります。(わからない人は授業で説明します。2秒で終わります。)

 

私が楽にそりを引くためには、FcosθのFが小さくてもFcosθが大きくなればいいので、cosθを大きくすればFcosθは大きくできますcosθはθ=0°で最大です。つまり地面とひもの角度を0°に近づけていけば近づけていくほど、楽にそりを引けるということになります。

 

市販されているそりのひもだと短いので、地面とひもの角度はかなり大きくなってしまいます。そこで私は、そりについているひもに縄跳びを結びました。これで地面とひもの角度はかなり小さくなりました。

 

実際に娘たちを縄跳び付きそりに乗せて引っ張ってみると、前より小さい力でそりを引くことができました。明らかに楽にそりを引けるようになったのです。

 

そんなこと考えながら子どもと遊んでいるのですが、この感動を子どもたちがまだ理解できないのが悔しいですね。理解するには高校生にならないと無理です。まぁ、そのころには私が引くそりには乗ってくれないでしょうけど。

 

最後に注意点。そりを引く人とそりの間が縄跳びの長さの分だけあいてしまうので非常に危ないです。車が来ない道や公園などで行うことをオススメします。


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