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人はなぜ勉強するのか?(5)

 

人にだまされないように②  グラフの話

 

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前回の人はなぜ勉強するのか?(4)では、「人にだまされないために勉強する」というお話をしました。

 

そして最後に『決して、「勉強すれば人をだませる」ということではない』と述べました。悪意があるかないかはわかりませんが、勉強した人が人をだまそうとしている(かもしれない)例を挙げます。この例を参考に、やっぱり勉強は「人にだまされないため」にするものだと感じてください。

 

まず、2つのグラフを見てください。縦軸、横軸の数字が何を意味するか後でお伝えしますが、見た目で構いません。どんな印象を持つでしょうか。




上のグラフは、あまり変化のないグラフだという印象を持つのではないでしょうか。

 

下のグラフは、変化が大きく、下がり気味だという印象を持つと思います。

 

ここでグラフの説明をします。

 

横軸は日付です。2020221日から2020612日までのデータです。(表示は521日までですが)

 

縦軸の単位は%です。

 

そして、このグラフが何を表しているかというと、2020221日から2020612日までのアメリカのトランプ大統領の支持率の推移です。

 

しかも、2つのグラフは全く同じデータ(下の表)を使ってグラフを作成しています。ご覧になればわかると思いますが、上のグラフと下のグラフでは縦軸の目盛りが違います。上のグラフでは目盛りが0から100に対して、下のグラフは省略を表す波線がついていて、40から48の目盛りがあります。

 



目盛りの付け方ひとつで相手に与えるグラフの印象が、かなり違うということがわかっていただけたでしょうか。

 

そして、グラフを作るのは人間です。ある特定の意図をもってグラフを作っている可能性もあるのです。

 

例えば、今回の例で言うと、新型コロナウィルスや人種差別問題でトランプ大統領の支持率が下がっていることを強調したい人は下のグラフを利用するかもしれません。一方、色々な問題がある中でもトランプ大統領の支持率はあまり変化ないと強調したい人は上のグラフを使うでしょう。

 

ここでポイントをひとつ。私なら、グラフに省略を表す波線がついていたら、「何か裏の意図があるな」と思います。そして、その数字の意味や裏の意図を考えたり、他の情報源を参考にしたりします。

 

どんなことも鵜呑みにしないで自分で考える習慣をつけると良いですね。その自分で考えるときに助けになるのが、学校で勉強する内容なのです。

 

今回はグラフの読み方が自分で考えるときの助けになりました。歴史の知識が助けになるかもしれませんし、英語力が役に立つかもしれません。

 

『勉強は「人にだまされないため」にするものだ』と感じられましたか?「だます」というと人聞きが悪いので、「自分の思う通りの方に人を誘導する」と言いかえますね。あぁ、それを「だます」というのかな?


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