知らないことを知るために①
前回の人はなぜ勉強するのか?(6)では、「人と楽しく会話するために勉強する」という話をしました。そして、その勉強する内容は、学校で学ぶようなことだけではなく、自分で興味を持ったことなら何でも良いというお話もしました。興味を持ったことなら何でも勉強してみようと言うなら、「知らないことを知るために人は勉強する」という言い方もできるかもしれません。
私は、どの生徒にも最初の授業時に2つのルールを伝えます。
一つ目は、宿題は必ずやること。
二つ目は、質問があるときは必ずすること。
勉強に関することでも関係ないことでも、どんなことでもいいので、気になったこと、わからないことを質問して欲しいのです。
この話をするとき、ある生徒の質問を必ず思い出します。
「流れ星って何ですか」というものです。
そのとき、私はその質問に答えることができませんでした。流れ星がどんなものか知らなかったのです。あとで調べてちゃんと教えるからとその生徒に伝えました。
それからいろいろ調べて、流れ星は1グラムくらいのちりで、それが地球の大気に当たって摩擦で熱を発して光るということがわかりました。そして次の授業でそれをその生徒に伝えました。
私は今でもその生徒に感謝しています。知らなかったことを知るチャンスを与えてくれたからです。そして、知らないことに気づかず日々を生きてきた自分に気づかせてくれた、これが一番大きいです。
人は普段何気なく生きていると気付かないこと、当たり前過ぎて疑問に思わないことが多くなってきます。特に「先生」なんて呼ばれていると、いろいろなことを知ったかぶりして日々を過ごしてしまいます。
そんな時に、新しいことを知る機会を与えられると、まだまだ知らないことがあること、一生勉強は続くということを思い出させてくれるのです。
だから「生徒」は「先生」であり、「先生」は「生徒」だと思うのです。
私が生徒に何でも質問するように言うとき、「私は何でも知っているから聞きなさい」という想いではなく、「私が知らないと気付いていないことを教えて」という想いでいるのです。