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人はなぜ勉強するのか?(63)

 


  人はなぜ国語を勉強するのか?③  すべての教科の根本



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前回の人はなぜ勉強するのか?(62)では、国語(現代文)を勉強する意義として、母語の能力を上げること、具体的には、語彙を増やすことや論理的な説明を学ぶことによって、より深く物事を考えられるようになり、人とコミュニケーションをとる時にも、相手の意見を正しく理解し、自分の意見を論理的に伝えることができるようになるためというお話をしました。

 

幼児と大人では、頭の中で考えている内容が違うでしょうし、メッセージを受け取った時の理解力も違うでしょう。

 

また、自分のメッセージを相手に伝える方法も大事です。どれほど良いアイディアを思いついたとしても、そのアイディアの良さを周りの人にうまく伝えられなければ、そのアイディアは実行に移されない可能性もあるからです。

 

今回は、国語と学校で勉強するその他の教科との関係性を取り上げます。

 

国語という教科がすべての教科の根本だということに異論を唱える人はいないと思います。

 

私は、小学生の保護者様への中でこう書いています。

 

国語ができる子とできない子では、他の教科の問題でも問題文を読んだときに理解度が違ってきます。最近は生徒たちを指導していても、「問題の意味がわからない」という質問が多いような気がします。みな同じ問題文を読んで設問に答えるわけですから、「問題の意味がわからない」というのは問題を解くうえで致命的です。

 

生徒はみな同じ問題文、設問を読んでいますが、その理解力には当然個人差があります。また、解答を書く時の表現力にも個人差があります。

 

それだけではありません。最近は学校のテストで日本語を聞いて答えるという「聞く力」を試しています。この「聞く力」は非常に重要だと思います。

 

ペーパーテストでは、問題文や設問を「読む力」を基にした理解力が問われますが、普段の授業では先生の話した内容を「聞く力」を基にした理解力が問われているからです。先生の説明や指示が正しく理解できなければ、勉強内容の理解力に差が出るのは必然です。つまり、先生の同じ説明を聞いてもわかる人とわからない人が存在してしまうのは、勉強ができる人とできない人を生んでしまう原因となってしまうのです。

 

それでは、「聞く力」はどのように鍛えればいいでしょうか。実は、「聞く力」は「読む力」や「書く力」を鍛える方法と同じなのです。人の話を聞くことだけが「聞く力」を伸ばす唯一の方法ではありません。

 

知らない言葉を覚え、語彙を増やすことや論理的な説明の仕方や文法を学ぶことで飛躍的に「聞く力」は伸びていきます。同時に「読む力」や「書く力」も伸びていきます。つまり、国語の勉強をすることが、「読む力」「書く力」「聞く力」を伸ばし、授業での理解力や他教科の問題や設問の理解力も伸びていきます。

 

これが、国語という教科がすべての教科の根本だということの証です。

 



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