人はなぜ国語を勉強するのか?④ 「読む力」「書く力」「聞く力」
前回の人はなぜ勉強するのか?(63)では、国語の勉強をすることで「読む力」「書く力」「聞く力」が伸びて、国語以外の教科の授業での理解力やテスト問題の理解力にも影響していくので、国語がすべての教科の根本だというお話をしました。
また、「聞く力」は、先生の説明や指示を正しく理解するのに重要な力ですが、「読む力」や「書く力」を鍛える方法と同様に、語彙を増やすことや論理的な説明の仕方や文法を学ぶことで伸びていくというお話をしました。
一見相互に関係ないような「読む力」「書く力」「聞く力」が、実は複雑に関係し影響し合っています。
人の話を聞くことだけが「聞く力」を伸ばす唯一の方法ではなく、語彙を増やしたり、文法を学んだりすることのような「読む力」や「書く力」を伸ばす方法も「聞く力」を伸ばします。
このことは、よく考えてみると簡単なことです。
例えば私は英語と日本語以外の言語はあいさつ程度しかわかりません。中国語やドイツ語などを話されても、少しも理解できません。私には中国語やドイツ語の語彙が全くインプットされていないので、聞こえてくる音がどういう意味なのかはもちろん、どこからどこまでが一つの単語なのかということすらわかりません。
つまり「わからない単語は聞いても理解できない」ということです。
それならば、相手の話を聞いて理解するためには語彙力を増やすことが一番大事なことだとわかります。
これは、英語のリスニングテスト対策としてどのように勉強すれば良いかのヒントになります。
以前の大学入学共通テストについて(1)の中で、センター試験との違いで一番大きいのは英語のリスニングではないかというお話をしました。というのも、筆記試験とリスニングの配点比率が大きく変わったからです。
センター試験では、筆記200点、リスニング50点でリスニングの比率は、250点満点中50点なので、20%しかありませんでしたが、大学入学共通テストでは、筆記100点、リスニング100点でリスニングの比率は、200点満点中の100点なので50%に跳ね上がったのです。
無視できない数字になりましたが、国語の勉強同様、何をすればいいかわからず何もしていない人が多いことでしょう。
しかし、「話を聞いて理解する」ということに関して、国語も英語も同じはずです。つまり行うべき対策も同じで、語彙力を増やすことが一番大事なことだとわかります。
そして、それだけでなく文法を学ぶことのような「読む力」や「書く力」を伸ばす方法も「聞く力」を伸ばしなすので、英単語、英熟語、文法、読解などをバランスよく勉強していくのが良いでしょう。