人はなぜ英語を勉強するのか?④ 異なる視点を持てる
英語を学んで海外で暮らすようになると、日本でずっと生活している人とは違う視点を持つようになると思います。これは英語を学ぶ理由の一つになると思います。
日米で活躍された野球のイチロー選手の引退会見でのコメントを紹介します。「孤独感はずっと感じてプレーしていたか」という質問に対して、現在それは全くないと前置きした上で、アメリカでプレーしたことで得たものをこう述べています。
アメリカに来て、メジャーリーグに来て、外国人になったこと。アメリカでは僕は外国人ですから。このことは… (数秒間思案) 外国人になったことで人の心をおもんばかったり、人の痛みを想像したり、今までなかった自分が現れたんですよね。この体験というのは、本を読んだり情報を取ることはできたとしても、体験しないと、自分の中からは生まれないので。
ずっと日本で暮らしていると「外国人」になる経験はできません。経験して初めて、日本に住む外国人は大変なこともあるだろうと思いやることができるし、外国に住むその国の国籍以外の人々に対しても理解してあげられることもあるかもしれません。
私自身は、アメリカで自分はアジア人だと認識することができました。
日本はアジアの国だから日本人はアジア人だというのは当たり前と思う人も多いでしょう。
しかし、日本に住んで、アメリカの映画を見て、イギリスの音楽を聞いて、スペインのサッカーを観戦して、イタリア料理を食べているとアジア人である自分を意識することは少ないと思いませんか。むしろ、先進国である日本に住む私たちは、他のアジア諸国の人々より欧米寄りだと思っているのではないでしょうか。
実際にアメリカに留学して、中国や韓国の友達とタイ料理や中華料理を食べていると自分はアジア人だとはっきり認識できます。しょうゆ系の味付け美味いなと。箸を上手に使って食事する人々同士の安心感たるや半端ありません。
これは、白人やアフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系とは仲良くできないという意味ではありません。それ以上にアジア系の結束が強まるという意味です。
こういう経験は、日本から出て海外で生活しなければ得られないと思います。
イチロー選手は先ほどの続きに、そのアメリカでの経験は今後の自分の糧になるのだと述べて会見を締めくくっています。
孤独を感じて苦しんだことは多々ありました。ありましたけど、その体験は未来の自分にとって大きな支えになるんだろうと今は思います。だから、つらいことしんどいことから逃げたいと思うことは当然のことなんですけど、エネルギーのある、元気な時にそれに立ち向かっていく、そのことは人として重要なことと感じています。