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人はなぜ勉強するのか?(69)

 

人はなぜ英語を勉強するのか?⑤  いろいろな経験ができる



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前回の人はなぜ勉強するのか?(68)では、イチロー選手の引退会見でのコメントから、アメリカに行ったからこそ得られたもののお話をしました。本やその他のソースから情報を取っても得られない、自ら体験して初めて得られたものです。


最後にイチロー選手がアメリカでの経験について、「その体験は未来の自分にとって大きな支えになるんだろうと今は思います。だから、つらいことしんどいことから逃げたいと思うことは当然のことなんですけど、エネルギーのある、元気な時にそれに立ち向かっていく、そのことは人として重要なことと感じています。」とおっしゃっています。


つらい経験も自分の糧になるので、元気なうちに苦労しなさいという若い人へのメッセージと私は受け止めました。


私自身もアメリカでいろいろな経験をさせてもらいました。今振り返ると、よくやったなと思うことばかりです。


私はよくアメリカでの経験を生徒に話します。事実を話しているのですが、たまに自分で怖くなります。今ならできないかもと思うことが多々あるからです。若かったからできたことかもしれません。今では昔より常識というか世間というものを知っていますので、そんなことしないだろうというようなことを若いうちは平気でできました。


例えば、寮を出てアパートを借りるのに、良さそうなアパートを見つけて、その大家さんのところにアポなしで直接伺って貸してくれと頼みに行きました。


今なら新聞や広告やウェブで物件を探して、電話やメールでアポを取り、それから指定の場所に伺って交渉するでしょう。


その大家さんもさぞかし驚いたでしょう。いきなりアジア人がやってきて、アパートを貸してくれと言うなんて。それでも、その大家さんは大変親切な人で快く家に招き入れてくれて、話を聞いてくれたのです。外国人ということで敷金を通常の2倍(家賃2か月分)払うことになるけどどうかと提案してくれました。


アメリカでは、冷蔵庫やオーブンなどの家電付きのアパートは珍しくなく、そのアパートもそうでした。得体のしれないアジア人に家電を持っていかれたり、家賃を踏み倒されたりしたら大変です。納得できる条件だったので、敷金を2倍払って契約しました。


車を買った時もそうでした。中古車を探していたのに、新車のディーラーに入って行き、安い車を探しているとセールスマンに尋ねました。いきなりアジア人が来て、売っている新車と一ケタ違う予算で車を探していると真顔で言うなんて、よくそのセールスマンの人もまともに会話してくれたと思います。


しかし、思い切って行動すれば道は開けるものです。そのセールスマンの知り合いに車を売りたがっている人がいるから、紹介してあげると言われたのです。そのセールスマンにしたら、自分の店の車が売れるわけでもないのに一生懸命に接してくれました。


かくして真っ赤なスポーツカーを手に入れることができました。よく壊れる車でしたが、よく走ってくれました。


若い生徒たちには特に言いたいです。英語を学んで、外の世界を見てみよう。行動すれば道は開ける。今しかできないことが必ずある。そのような世界に放り出されたら、引っ込み思案とか人見知りとか言っている場合じゃなくなります。



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