予習の具体例② 数学 「知之為知之」 メタ認知とは?
(前回の人はなぜ勉強するのか?(78)のつづき)
数学の予習は、余裕があれば教科書の例題を解いてみるのがいいでしょう。解かないまでも、解法を読むだけでも勉強になります。
解法の途中でわからないところが出てきたらラッキーです。それがそのまま疑問点です。
なぜその式が導かれるのか途中でわからなくなることはよくあります。
「この問題のここまでわかったけど、ここから先がわからない」と質問する生徒がいたとしたら、彼もしくは彼女は完璧な学ぶ姿勢を持った生徒です。
何がわかって、何がわからないのかがわかっているのですから。
『論語』にもこういう一節があります。
知之為知之、不知為不知。是知也。
之(これ)を知るを之(これ)を知ると為(な)し、知らざるを知らずと為(な)す。是(こ)れ知るなり。
自分がきちんと知っていることを「知っている」とし、自分がきちんと知らないことは「知らない」と認識する。これが「知る」ということである。
「知っている」ことと「知らない」ことをはっきりと区別できることで、中途半端に知ったかぶりをすることもなく、「知らない」ことを謙虚に学べばその人の成長につながります。
この「自分がきちんと知っていることを『知っている』とし、自分がきちんと知らないことは『知らない』と認識する。これが『知る』ということだ」ということを考えるとき、私は「メタ認知」という言葉を思い出します。
メタ認知とは『広辞苑』によると「自分で自分の心の働きを監視し、制御すること」とあります。
英語で、metaというのは単語の前につく接頭辞で、「より高度な」とか「より超越した」という意味を持っています。
メタ認知とは「より高度な認知」ということなので、自分の認知(知識や考え)をさらに認知するということです。つまり、自分のことを冷静に見つめる自分がいて、その客観的な自分が自分を分析するようなイメージです。
このメタ認知は、勉強する上で非常に重要なことだと思います。というのも、もう一人の客観的な自分に対して自問自答することが勉強する過程で重要だからです。(つづく)