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人はなぜ勉強するのか?(95)

 


 メタ認知の鍛え方③  ムダにみえることも経験してみよう



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前回の人はなぜ勉強するのか?(94)では、生徒たちの「メタ認知」を鍛えることが成績アップのカギだと考え、「メタ認知」を鍛える取り組みを紹介しました。


以前と全く同じ問題を解くのであれば、答えや解き方を覚えれば良いだけなので、これは「認知(知識)」の問題です。


全く同じ問題でなければ、これは「メタ認知」が必要になってきます。


例えば、ある場所からある場所への移動を考えるとわかりやすいかもしれません。


いつも同じ場所から同じ目的地に移動するなら、一度その道順を覚えれば何度でも間違えずに目的地にたどり着くでしょう。これが、道路工事やイベントなどでいつも通っている道が通行止めになっていたらどうでしょう。別の道を通らなければならない時に急に困ってしまうのです。


これは、いつも同じ問題を解くなら難なく解けるけれども、いつもの問題より少し変えられるだけで急に解けなくなることの例えです。


このような不測の事態に対応できるようになるには、一見無駄なように思えることも経験しておくと良いと思います。


例えば、A地点からC地点まで行くとします。仮にA地点からC地点までの道に通行止めがあって直接行くことができなきなったとしましょう。


普段から町をブラブラあてもなく散歩していて、B地点からC地点までの行き方を発見した人がいるとします。その人は、A地点からC地点まで通行止めで直接行けなくなったとしても、何とかB地点まで行くことができれば、そこからC地点までたどり着くことができるのです。


A地点からC地点まで行く人にとって無駄のように見える、A地点からB地点までの道順でも役に立つことはあるのです。


時間的制約もありますから、なかなかムダな寄り道はしない人も多いと思います。そういう人は、「この道を通るとこの道に出るんだ」という経験が少ないので、いつも同じ場所から同じ目的地に移動するなら問題ないのですが、通行止めのような不測の事態に対応できなくなってしまいます。


勉強面で言っても、無駄に見えることもどんどんすべきだと思います。指導者は正解までの最短距離を知っているので、無駄な寄り道をしている生徒にやきもきするケースもあるでしょうが、将来的に役立つ寄り道なら目をつぶるべきでしょう。私はそんな無駄な寄り道をしている生徒によく「勉強していれば誰もが通る道だ」と言います。


そうです。寄り道と言っても勉強しているからこそ通る道なのです。何もしていない人は決して知り得ない道なのです。



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