先の見えない時代を生き抜く力を身につけるために
現代は中学生のなりたい職業ランキングで、YouTuberなどの動画投稿者が一位になる時代です。IT(情報技術)やAI(人工知能)、ロボットの発達により、将来的に無くなってしまう職業もあると言われています。今後、十数年で約半数の仕事が無くなるという研究結果もあります。
このような時代背景の上に、特に今年2020年は新型コロナウィルスの感染拡大があり、将来が全く見通せない状況にあります。
これだけ時代の変化が速く、誰もが初めて経験する全く新しい世の中で、どのように生きていくか。これは、子どもたちだけではなく大人たちにも突き付けられている喫緊の課題です。
勉強をするということは、「将来起こる問題を解決する能力を養うこと」だと考えています。
新型コロナウィルスの感染者数の推移を数理モデルで解析するというようなことは、その例の一つだと思います。
人はなぜ勉強するのか?(20)の中で、「学校の勉強は教科書があって、そこに答えが書いてある」というお話をしました。学校では必ず答えのある問題を解いていきます。
しかし、世の中に出れば正解のない問題や答えの出ない問題も山積みです。その都度、自分で考えて「答え」を出していかなければなりません。
自分なりの「答え」です。正解のない問題や答えの出ない問題であれば、数学のように答えが一つというわけにはいきません。そもそも答えはないのでしょうから、カギカッコ付きの「答え」です。
答えがないからと言って、適当に「答え」を出すということではありません。
一定程度、周りの人が納得するような「答え」でなければ世の中は認めてくれません。
その時に必要なことが、学校での勉強です。なぜならば、学校では義務教育の名のもとで一定程度の前提条件が世の中の人に与えられているからです。
例えば、わかっていることを使って、わかっていないことを証明する方法や、論理的に考える思考過程などを数学で学びます。
国語の勉強では、相手にどうやったら正確にわかりやすく考えを伝えることができるかを学びます。
理科や社会の知識は、もっと高度な知識の基礎になるでしょう。
これらの知識を合わせて、様々な方法を駆使して、私たちは答えの無い難問に挑んでいきます。
学校では、新しい課題に挑戦する基礎を作っていると言えるでしょう。
私たちは勉強を通して、先の見えない時代を生き抜く力を身につけようとしているのです。