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人はなぜ勉強するのか?(26)

 

ご褒美がもらえるから、ペナルティをくらいたくないから

 

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人はなぜ勉強するのか?という問いに対して、ご褒美がもらえるからとか逆にペナルティを食らわないようにとかいう答えを持つ人もいると思います。

 

「学年で○番以内なら、××がもらえる」とか「テストで○○点以上ならおこづかいがアップする」とか。逆に「クラスで○番以内に入らなかったら、スマホを取り上げる」などとペナルティを設ける場合もあるでしょう。

 

これは、よく保護者の方から受けるご質問であります。「子どもの勉強に対するモチベーションを保つためにアメとムチを使った方が良いですか」と。

 

これは、あまり効果は無いというのが私の意見です。

 

例えば、「成績が上昇したら、お金をもらえる」というルールを決めたとしましょう。もらえるものは何でも良いのですが、お金が一番わかりやすいのでお金にしましょう。

 

ある生徒がちゃんと勉強して、成績が上昇したとしましょう。一見すると、このルールは生徒のモチベーションアップに寄与し、結果が出たと思えるかもしれません。

 

これは長い目で見ると恐ろしいことだと思うのです。なぜならば、この生徒は「お金がもらえる」という理由で勉強しているからです。どこかの段階でこのルールを止めたら、この生徒は勉強しなくなってしまうかもしれません。

 

「成績が下がったら、スマホを取り上げる」というペナルティの場合もそうです。

 

スマホが無くなったら困る生徒は、一時的に頑張って勉強するかもしれません。しかし、それでも成績が下がってしまったらどうでしょう。

 

ルールなので、スマホは取り上げられます。それで、この生徒はモチベーションが一気に下がり、「もういいや」となってしまうでしょう。それでおしまいです。一度下がったモチベーションを上げるのは至難の業です。

 

「成績が上がったら、もう一度スマホを使えるよ」というルールを作っても、「どうせ無理」と思って勉強しないのがオチです。

 

やはり、人はなぜ勉強するのか?(20)でお話したように、ご褒美が欲しいとかペナルティを避けたいとかいう「自分のため」に勉強するというのは限界があるように思います。

 

私自身も身に覚えがあります。中学の時に親と賭けをしました。「9教科で学年1位を取ったら、コンポを買ってあげる」というものです。

 

余談ですが、今の若い子たちにはコンポと言ってもピンとこないようです。音楽はスマホで聞くので、CDすら持っていません。コンポなんていらないのです。だからこのルールは生徒のモチベーションアップにつながりません。あしからず。

 

話を元に戻します。CDが出始めた当初です。私はCDコンポが欲しくて勉強しました。受験には関係ない実技4教科も頑張って、学年1位を取りました。ルール通り、私は親にコンポを買ってもらいましたが、それ以来、一度も親と賭けをしませんでした。

 

何かむなしくなったのです。欲しいモノのために勉強するってどうなのだろうと疑問を持ったのです。一時的には、今回のように頑張って勉強するかもしれません。でも、ご褒美が無ければ勉強しなくなるというのは、どうなのだろう、と。

 

もっと違うもののために勉強しようと思った最初の出来事でした。


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