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人はなぜ勉強するのか?(22)

 

大人になっても勉強  『子ども科学電話相談』の話


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『夏休み子ども科学電話相談』の季節がやってきました。

 

これは夏休みだけではなく、長期休暇中にNHKラジオで放送している番組です。(2019年からは毎週日曜日にレギュラー化しました。)

 

宇宙、植物、昆虫、鳥、恐竜、鉱物などなど各界の専門家の先生が子どもたちの質問に答えるという素晴らしい番組です。

 

私はいつも楽しみにしています。授業と授業の間の移動中に車で聞くことが多いです。

 

何が面白いかというと、大きく2点あります。

 

一つは、子どもたちの質問です。以前、人はなぜ勉強するのか?(7)でお話ししたように、大人になると疑問に思わなくなるようなことや知ったかぶりしてごまかしているようなことを子どもたちはまっすぐに質問してくれます。

 

最近は、子どもとは言っても図鑑や本でたくさん勉強していて、自分の好きな分野のことなら大人顔負けの知識を持っています。専門家の先生も驚くことが多いです。

 

マニアックな質問もありますが、そうではない素朴な質問もあります。その度に「あぁ、そういうことを疑問に思うんだ」とか「あ、それ知りたい!」とか独り言を言いながらラジオを聞いています。

 

答えを知っている質問なら「その質問に自分ならどうやって答えようか」と考えます。これが二つ目の面白い点です。

 

自分ならどう答えるかを考え、その道のプロである専門家の先生はどう答えるか、ここを楽しみます。

 

ラジオを聞いてみるとわかりますが、専門家の先生もとても大変そうです。というのも、大人に説明するのとはワケが違うからです。ある程度の知識のある人に説明するのではなく、小学生とか時には就学前の子どもとかに説明する場合もあります。

 

ある事柄を説明するのに、その説明の前提となる知識を知っているかどうかを確認する先生方


「〇〇は知ってる?」


それに


「知らない」


と無邪気に答える子ども。途方に暮れる先生。若干不謹慎ですが、これが面白いのです。

 

子どもたちの質問に答える各界の専門家の先生方は、第一線で研究もされている立派な方ばかりですが、それでも誰にでもわかるように説明する難しさを感じ、それを改めて勉強しようと思うのではないでしょうか。

 

生徒に教える仕事をしている立場として、ここがとても勉強になります。こういう教え方は良いなと思うものを実際に使うこともありますし、いろいろなアプローチで小さい子どもにもわかるようにしている工夫を参考にすることもあります。

 

私にとってこの『夏休み子ども科学電話相談』は、いつまでも勉強する必要があると思わせてくれる夏の風物詩です。



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