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人はなぜ勉強するのか?(43)

  

性差別  ジェンダー問題


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人はなぜ勉強するのか?(37)でジャッキー・ロビンソンの紹介をして以来、前回の人はなぜ勉強するのか?(42)まで人種差別問題について考えてきました。

 

正直に言うと、ブログを書き始めて初めてではないかというくらい筆が重かったです。そもそも人種差別問題というもの自体が繊細な問題である上に「人はなぜ勉強するのか?」という問いに対する答えにはなっていないように思えたからです。

 

それでもいろいろなことを知ることは、「人はなぜ勉強するのか?」ということを考える上で非常に大事なことでしたし、何かを考えるきっかけになってくれればという想いで続けました。

 

人種差別だけでなく、この世の中には様々な差別があります。日本にもたくさんの差別があります。

 

性差別ひとつ取っても、女性が男性に差別されることもあるし、男性が女性に対して差別されることもあります。そもそも性別を問題にすること自体が問題だということもあります。

 

例えば、会社や組織の中での女性の昇進や昇給は男性に比べて遅いと言われています。これは女性が男性に差別される例です。

 

男性が女性に対して差別される例としては、助産師の例があります。助産師は原則として女性しかなれません。これは職業選択に関して男性が差別されていると考える人もいます。

 

そして、そもそも性別を問題にすること自体が問題だという例は、2020102日の北海道新聞夕刊の5面にニュース記事がありました。

 

日本航空が10月1日から、飛行機の機内や空港で使用していた “ladies and gentleman(紳士、淑女のみなさん)”という英語アナウンスを廃止して、“all passengers(すべての乗客のみなさん)”や“everyone(みなさん)”のようにジェンダーに中立的な表現に変更したというニュースでした。

 

ジェンダー(gender)とは、生物学的な性別に対して、社会的・文化的につくられる性別のことです。

 

例えば、「妊娠、出産ができるのは女性だけである」と言うときの「女性」は生物学的な性です。

 

「女性は子育てをすべきである」と言うときの「女性」は社会的・文化的につくられる性です。これがジェンダーで、社会や文化から「男性はこうあるべき」とか「女性はこうあるべき」と決められるので差別を生みやすいのです。

 

「妊娠、出産ができるのは女性だけである」というのは変えがたい事実ですが、「女性は子育てをすべきである」というのは、男性も子育てができるし、女性だけができることでもしなければならないことでもないので、この表現は差別につながります。

 

今回の日本航空の決定は、こういった差別につながるような言葉の使い方を是正する試みです。

 

このように性差別について考えてみると、誰もが差別の被害者になる可能性があります。時には加害者にもなるかもしれません。明確な差別意識をもって差別する人もいるでしょうし、差別する意図を持たず、無意識のうちに差別してしまう人もいるでしょう。

 

そういう意味では、差別の問題は私たちの誰もが関係する問題なのです。

 

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