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人はなぜ勉強するのか?(90)

 


 わからないことはググれば良い?



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前回の人はなぜ勉強するのか?(89)では、知識を増やすことで深い思考、合理的な判断を下すことができるようになるというお話をしました。


ですから、「何でもネットで簡単に調べられるから、知識は無くてもいい」と言って勉強せずにいると、知識が乏しく、浅い思考しかできない幼稚な判断や行動しかできないままになってしまうというお話もしました。


以前の人はなぜ勉強するのか?(79)で「メタ認知」について紹介しました。


メタ認知とは『広辞苑』によると「自分で自分の心の働きを監視し、制御すること」とあります。


英語で、metaというのは単語の前につく接頭辞で、「より高度な」とか「より超越した」という意味を持っています。 


メタ認知とは「より高度な認知」ということなので、自分の認知(知識や考え)をさらに認知するということです。つまり、自分のことを冷静に見つめる自分がいて、その客観的な自分が自分を分析するようなイメージです。


このメタ認知は、勉強する上で非常に重要なことだと思います。というのも、もう一人の客観的な自分に対して自問自答することが勉強する過程で重要だからです。


「メタ認知」は、「より高度な認知」であると聞くと、「認知」は「メタ認知」より劣っているものと思われがちです。そこから、「認知」(知識)があまり重要ではないとか、わからないことはネットで調べれば良いという考え方になってしまうのです。


前回の人はなぜ勉強するのか?(89)でお話ししたように、知識がなければ浅い思考しかできないのです。知識があるからこそ考えられることも増えると言い換えてもいいと思います。


そういう意味では、「認知」あっての「メタ認知」なので、わからないことはググればいいという考え方は非常に安易です。


例えば、歴史は特に生徒の間で勉強する必要ないとか、必要なときにネットで調べればいいと言われることが多い教科です。しかし、その「必要なとき」がいつなのかという判断は、結局知識があるからこそできる判断です。知識がなければ使おうと思うタイミングがないので、ネットで調べようという機会もないのです。


歴史の知識があると、それを踏まえて未来を考えることができます。新型コロナウイルスの感染拡大で未来がどうなっていくのか見通しづらくなっている昨今、歴史の知識が再認識されることが多くなりました。


かつてのペストやスペイン風邪のような感染症の大流行時の世界がどういうものであったのか、経済、文化、公衆衛生などさまざまな分野において歴史から学んで現在の困難な問題の解決に生かそうという試みが行われています。



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