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人はなぜ勉強するのか?(87)

 

メタ認知は思考の深さに影響



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前回の人はなぜ勉強するのか?(86)では、クイズ番組などで解答者が、自分の中の客観的な『自分』との『会話』を通して、自分の思考に対して疑問を投げかけ、その都度なぜその考え方が間違っているのか『自分』に対して説明している様子から「メタ認知」のお話をしました。


私は、この「メタ認知」が思考の深さに影響していると考えています。


人はそれぞれいろいろなことを思考します。たとえ同じことについて考えたとしても、人によって思考過程も結果も違います。


これは、人によって「自分の中の客観的な『自分』との『会話』」が違うので当然のことです。


その自分の中の客観的な『自分』が、正しい知識で合理的な判断をできれば、正しい『会話』になり、正しい結果が得られるでしょう。


これは、前回の人はなぜ勉強するのか?(86)でクイズ番組の解答者が、「違うな」とか「そうじゃないか」といった自分の思考に対して疑問を投げかけている場面で行われていた自分の中の客観的な『自分』との『会話』そのものです。そして、その都度なぜその考え方が間違っているのか『自分』に対して説明する行為も内なる『自分』との『会話』です。


一方、自分の中の客観的な『自分』が、間違った知識で判断したり、感情的だったりすれば、間違った『会話』になり、間違った結果が得られるでしょう。自分の中の客観的な『自分』が、何も語らないので『会話』にすらならない場合もあります。もっと悪い例でいうと、「面倒だからサボろう」とか「眠いから寝よう」とささやいてくるケースもあるでしょう。


以前の人はなぜ勉強するのか?(85)で中学校や高校の勉強でつまずく原因を紹介しました。


中学や高校で勉強につまずく原因として、勉強方法が合っていなかったのに今までのやり方に固執しすぎたということがよくあります。


小学校時代はできていたのに中学校でできなくなったとか、中学で得意だった教科が高校で点数が取れなくなったというのがそれです。できていた時の勉強方法にこだわりすぎると新しい『敵』に対応できなくなるのです。


それ以外にも「メタ認知」が関係していると考えています。知識(「認知」)だけで点が取れた時期から急に点が取れなくなる時は、どれだけ深く思考できるか(「メタ認知」)が問われているのです。


特に若いうちは記憶力が高いので、本質をとらえるような深い思考をする前に暗記で乗り切れてしまったことが裏目に出てしまうのです。一時的な記憶は、真の実力につながりません。本質をとらえて理解すると、いつまでも忘れず本当の学力につながっていきます。


それでは、どうすればこの「メタ認知」の能力は鍛えられるのでしょうか。次回は、そんなお話をしたいと思います。



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