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人はなぜ勉強するのか?(46)

  

日本でのアファーマティブ・アクション     スーパー戦隊の話


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前回の人はなぜ勉強するのか?(45)では、アファーマティブ・アクションについてお話ししました。

 

日本でのアファーマティブ・アクションの例は、1986年施行の男女雇用機会均等法が挙げられます。

 

日本では、ポジティブ・アクションという言葉を使っているようです(あまり世の中に浸透していないようで残念ですが)。ポジティブ・アクションは、実質的な男女均等取扱いの実現を目的としています。

 

当時の日本は、国連の女子差別撤廃条約を批准するために、法律などの整備をしなければなりませんでした。

 

そこで、1985(昭和60)年5月に男女雇用機会均等法が制定され、1986年に施行されました。それを受けて、1985625日に日本は国連の女子差別撤廃条約を批准しました。

 

突然ですが、私は戦隊ヒーローの研究をしています。男女雇用機会均等法の話をすると、私はいつも戦隊ヒーローの『超電子バイオマン』を思い出します。

 

『超電子バイオマン』は、19842月4から19851月26まで放送された特撮テレビドラマです。

 

それまで、5人(または3人)の戦士のうち女性戦士は1人(または0人)であったのに対して、『超電子バイオマン』では初めて「女性戦士が2人」という要素が導入されたのです。5人中1人(20%)であった女性戦士の比率が、5人中2人(40%)になったのです。

 

これは画期的な出来事です。このことと男女雇用機会均等法の制定や国連の女子差別撤廃条約批准が無関係のことだとは思えません。日付を見ると明らかですが、世の中の男女格差を是正しようという動きを敏感に察知した結果だと思います。

 

戦隊ヒーローを子どもの見るものだと考えるのは短絡的です。

 

確かに、戦隊ヒーローは子どもの視聴者を対象に作られているとは思いますが、実際に制作しているのは立派な大人です。大人が制作する以上、様々な社会的環境が制作に影響するのは必然です。そして、私はそれを社会学的観点で研究しています。世の中の動きが戦隊ヒーローの制作に影響を与えるのは必至で、逆に戦隊ヒーローが世相に影響を与えるかもしれません。私はその関係性を楽しんでいます。

 

いつか日本にも女性のリーダー、総理大臣が誕生するでしょう。その少し前に戦隊ヒーローの中央に女性のレッド(戦隊ヒーローのリーダー)が誕生するでしょう。私はその日を楽しみにしています。

 

長い戦隊ヒーローの歴史の中で女性がレッドを務めたことは今までありません。

 

ただし、『海賊戦隊ゴーカイジャー』の中の女性戦士が、変身して他の戦隊ヒーローのレッドになったことはあります。『海賊戦隊ゴーカイジャー』は、レンジャーキーの力で歴代のスーパー戦隊の姿に変身可能なので、レッドに変身できました。

 

ちなみに戦隊ヒーローの変身後のスーツは、男女で違います。女性戦士はスカートをはいています。

 

そして、『海賊戦隊ゴーカイジャー』の中で女性戦士が、変身して他の戦隊ヒーローのレッドになった時、レッドがスカートをはいていました。 

 

見る側にとっては、誰が変身しているのかわかりやすいとか、レッドがスカートなんて珍しい、レアだとか様々な意見を持つ人もいるのですが、これはよく考えるともっと深い問題があります。

 

人はなぜ勉強するのか?(43)で取り上げたジェンダーの問題です。ジェンダー(gender)とは、生物学的な性別に対して、社会的・文化的につくられる性別のことです。

 

ジェンダーは、社会や文化から「男性はこうあるべき」とか「女性はこうあるべき」と決められるものです。

 

今回の例で言うと、「女性はスカートをはくべきだ」というものです。

 

このことを不快に思う人もいるのではないでしょうか。そういうことに考えをめぐらせることができるように、私たちは様々なことを勉強して、知って、理解を深めなければなりません。

 

ここまで読んでいただいた方の中に、戦隊ヒーローを「子どもの見るものだ」と考える人はもういらっしゃらないかと思います。

 

子どもには子どもの見方、大人には大人の見方があるだけです。

 

次回は仮面ライダーのお話です。


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