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人はなぜ勉強するのか?(58)

 

創作物の中に出てくる花



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以前の人はなぜ勉強するのか?(54)では、あるネットの記事に対するコメントを紹介して、勉強することで合理的、論理的な思考を身につけ、権力者の横暴に歯止めをかけ、より良い社会の実現のために役立てるべきだというお話をしました。

 

改めてここでそのコメントを紹介します。

 

勉強する究極的理由は大きく2つあると思う。

①豊かな人生を送るため。
それは単に就職に有利という意味合いではなく、例えば新聞や遺跡を観るときなど、日常生活で、1つの物事を単に眺めて平面的にしか捉えられない人と、事実や歴史を立体的に俯瞰できる教養がある人とでは、人生の深みに天地の差がある人生となると考えられる。

②客観的、合理的な社会秩序を実現する。

この世のなかは放っておけば、権力者、お金持ち、腕力強い人などが社会を支配してしまう。そうした無秩序な社会では、たとえ不合理で矛盾したことであっても、事実はねじ曲げられ、都合の良い論理を押し付けられてしまう。そこで、教育により合理的、客観的な思考を身につけ、不合理な相手を説得できる能力が必要となる。社会にはびこる不合理、不平等、不正を批判的に吟味し、社会に秩序をもたらし、誰もが暮らしやすい社会を目指すために学問は必要なのだと考える。

 

今回は、①の意見についてお話しします。

 

私も人はなぜ勉強するのか?(9)から人はなぜ勉強するのか?(12)までは、勉強すると世界が広がり、人生が豊かになるというお話をしました。

 

私自身ももっと勉強して知らないことを知ることができれば、今まで気付かなかったことに気付いてもっと豊かな人生が送れるのではないかと日々思っています。

 

ここでは私が最近見て気付いた、小説や映画、ドラマなどの創作物と花の関係をご紹介します。

 

小説や映画、ドラマなどの中で花が出てくるときは、必ず製作者の意図がそこにあると考えると面白さが倍増します。その作中で出てきた花の花言葉を必ず調べるようにすると良いと私は思います。

 

例えば、アメリカのドラマ『ブレイキング・バッド』の中でスズランが出てきます。スズランは英語で「lily of the valley」と言います。スズランの花言葉は「再び幸せが訪れる」です。

 

このスズランが作中では非常に大事な役割を果たすのですが、このスズランが出てきた後、実際に「再び幸せが訪れる」のです。(ネタバレになってしまうのでこれくらいしか言えません。ぜひご覧になってください。)

 

もう一つの例として、私の好きなアメリカのテレビドラマ『ウォーキング・デッド』のスピンオフドラマである『フィアー・ザ・ウォーキング・デッド』があります。そのシーズン4の中で青い花が出てきます。作中では、「ブルーボネット」と呼ばれています。ルピナスとも呼ばれるそうです。このブルーボネットの花言葉は「母性愛」です。

 

その花言葉の通り、この花は登場人物とその母親との関係性の中で出てきます。ブルーボネットが出てきたら、母親との回想シーンが出てきます。その母親も青い服、青いバンダナを首に巻いて、青い車に乗っています。しつこいくらいに視聴者に青色を刷り込んでいきます。まさにブルーボネットや青色は母親の象徴として作中で一体となります。

 

実はこういう伏線の気付きというのは、現代文の勉強に関わってきます。特に小説の中で作家は伏線を張りまくっています。どうすればその伏線に気付くか、ポイントがいくつかあるのでそういったことを授業中に指導しています。

 

そしてそういった伏線に気付くことでただ漫然と作品を楽しんでいる人と比べて、より深く作品を堪能して、より豊かな人生を送れると信じています。

 

あと、ついでに現代文の点も取れます。


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